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私が他地域から来た人に、何か岡山独特のものを食べたいといったのなら、『えびめし』をおすすめする。
理由は、ほかに似た味の食べ物がない、まさに独自の料理だからだ。
だからこそ、とにかく説明が難しい。
「一度食べてみて!」というのが、一番わかりやすいのかもしれない。
そんなえびめしの特徴を頑張って挙げるなら、以下のような感じ。
- インパクトのある濃い焦茶色の見た目
- 見た目と違ってサッパリとした味付け
- 口内にひろがる香ばしさ
- ほどよい塩梅のやさしい甘味
- ごはんの独特のパラパラ感
そんな岡山の名物料理でソウルフードの「えびめし」について、くわしく紹介していきたい。
2019年8月時点での情報です。
もくじ
えびめしとは?岡山のソウルフードのごはんもの料理
えびめしは、岡山の名物料理・ソウルフードとして親しまれている「ごはんもの」の料理だ。
もともとは岡山市の名物であるが、倉敷市や瀬戸内市など、岡山市周辺地域にも波及している。
えびめしは、洋食の一種にされることが多い。
名前の通りエビを具材に使っているが、エビ以外の部分でインパクトのある料理なのである。
以下、順に特徴を紹介していこう。
えびめしはエビをメイン具材にした濃い焦茶色の炒め飯料理
えびめしの見た目は、なんといっても真っ黒なごはんだろう。
このドス黒い色はかなりのインパクトがある。
えびめしという名前だが、エビよりも米の方が印象に残ってしまう。
黒いのでイカスミを使っていると思う人もいるが、よく見ると黒ではなく、濃い焦茶色である。
なお、店によってはもっと明るい茶色の店も。
えびめしの濃い焦茶色は独自のソースを絡めて炒めているため
えびめしの印象的なごはんの濃い焦茶色は、独自のソースを絡めて炒めていることから生まれている。
このえびめし独自のソースは、デミグラスソースやカラメルソース、カレー粉などが使われているようだ。
もちろん、細かい点は店によって異なっている。
えびめしの具材はエビ以外にも豊富
えびめしという名前なので、具材はエビがメインだが、エビだらけというほどではない。
エビ以外にも具材はけっこう豊富だ。
店によって異なるが、おもなエビ以外の具材は、以下のようなものがある。
- タマネギ
- ニンジン
- ピーマン
- マッシュルーム
- グリーンピース
これに加え、上に玉子が乗ることが多い。
ただし、玉子の種類はいろいろ店によって違い、以下のようなものがある。
- 錦糸玉子
- 刻みゆで玉子
- スクランブルエッグ
- スライスゆで玉子
また、パセリの粉末がかけられることも多い。
メイン具材のエビだが、店によってエビの大きさはさまざま。
ただし、大きな場合でも一口で食べられるサイズだ。
えびめしの味の特徴
えびめしは意外とサッパリで、香ばしさ・やさしい甘さ・パラパラ感がたまらない
えびめしの味わい・風味などは、ほかに似た味や風味の料理はなく、表現しがたい独自のものだ。
よくえびめしを、エビ入りの黒いチャーハン、エビ入りの黒色い焼き飯、エビ入りの黒いピラフなどと形容されるが、いずれも不適切な表現である。
チャーハンでも焼き飯でもピラフとも、ちょっとちがう。
独特の味や食感の炒めごはん料理だ。
えびめしは、その濃い焦茶色の見た目から、味が濃そうでベチャベチャしていそうなイメージを持つかもしれない。
しかし、実際に食べるみると意外にも味はサッパリとした印象だ。
えびめしの味のポイントは、以下の3点。
- 香ばしさ
- やさしい甘さ
- ごはんのパラパラ感
なお、これら3つのポイントは店によっては違うこともある。
えびめしは、口に入れた瞬間、口内にたまらない香ばしさが広がり、食べて進めると香ばしさが鼻孔をかすめてい く。
また、えびめしを出されたときに、甘く香ばしい香りがただよい、食べる前から腹が鳴る。
そして、食べていると、ほんのりとしたちょうどよい加減の甘さ。
これがクセになる。
そこに、エビのうま味やタマネギの甘みが加わっておいしさが倍増していく。
さらに、ごはんが口の中でほどけるような、ほどよいパラパラ感が独特だ。
くわえて、タマネギのほどよいシャキシャキ感、エビのプリプリ感がアクセントとになって独特の味わいに昇華していく。
提供店・提供スタイル
えびめしは、カレーのような平たい皿で出す店がほとんど。
金沢カレーみたいな銀皿の場合もある。
なかには丼で提供する店も。
えびめしを出している店は洋食店が多い。
もともと、いんでいらが洋食店だったためと思われる。
ほかに、喫茶・カフェのメニューにあることも。
さらに、以外かもしれないが、ラーメン店で出すところもある。
えびめしは、コールスローなどのサラダとセットになることも多い。
さらに、サラダとともにワンプレートで盛られることも。
スープがセットになる場合もある。
また、カレーのようにトンカツやハンバーグ・エビフライなどのトッピングがあることもあるのだ。
バリエーションとして、オムライスのように玉子でくるんだオムえびめしも存在する。
えびめしの起源と歴史
えびめしは東京の店「いんでいら」で生まれて、暖簾分けによって岡山で独自に進化
えびめしが誕生したのは、東京・渋谷。
渋谷のカレー店「いんでいら」で、昭和30年に考案されたとされている。
残念ながら、発祥のいんでいらは、2011年に閉鎖してしまった。
現在は、道玄坂にいんでいらの暖簾分け店が残っている。
その後、いんでいらの料理に人だった岡山出身の井出達海が、昭和41年に渋谷のいんでいらから暖簾分けした「いんでいら」を岡山市奉還町に出す。
岡山の「いんでいら」のえびめしが岡山で人気になり岡山のソウルフード化
渋谷から暖簾分けした奉還町のいんでいらでも、メニュ ーに独自アレンジしたえびめしを出した。
すると、しだいに岡山でえびめしが評判になる。
そして、いんでいらはグループ店として、えびめしを看板とした洋食店「えびめしや」を展開。
岡山市内や倉敷市内に徐々にえびめしが広がっていき、えびめしが岡山名物化した。
その後、奉還町のいんでいらは閉鎖し、代わりに天満屋地下にいんでいらができた。
ほかに、いんでいらは岡山郊外の倉田(中区)などに店舗があったのだが、いんでいら名義の店舗は現在なくなっている(会社名としての「いんでいら」は存続)。
もちろん、えびめしは今も存続している。
なお、岡山県内では新見や勝山(真庭市)にも「いんでいら」という店があって、えびめしが提供されている。
が、株式会社いんでいらとは資本関係はないもよう。
岡山のいんでいらとは別に東京のいんでいらから暖簾分けした店なのかもしれない。
なお、えびめしが岡山の発祥でないことにケチを付ける者もいるそうだが、発祥地であることと、名物であることは関係がないだろう。
家庭用「えびめしの素」もある
えびめしは、独自のソースが決め手であるが、そのソースを自宅で再現するのが難しいため、家庭ではなかなかつくれない。
しかし、えびめしが岡山名物として有名になると、家庭用の「えびめしの素」が販売されるようになった。
中には粉末のえびめしソースと、小さいエビなどが入っている。
エビが小さすぎると思うなら自分で用意し、ほかの具材も好みのものを用意すれば、えびめしの素を使って比較的簡単に自宅でえびめしがつくれる。
なお、福山市発祥で笠岡市に本拠・本工場を構える醤油メーカー「アサムラサキ」のものが有名だ。
アサムラサキのえびめしの素は、Amazonなどでも入手可能。
ほかに、なんとあのカルディもオリジナルのもの販売している。
コンビニでは「えびめしおにぎり」も
コンビニなどでは、えびめしのおにぎりも販売されている。
私が確認したのは、セブンイレブンやローソン。
ファミリーマートなど、ほかのコンビニでも販売しているかもしれない。
なお、セブンイレブンやローソンなどでも、店舗によっては扱っていない店がある。
えびめしおにぎりは、広範囲のセブンイレブンやローソンではなく、地域限定販売と思われる。
福山市内で販売店があったので、岡山県とその周辺地域の限定販売かもしれない。
なお、セブンイレブンやローソンのえびえめしおにぎりは、実際のえびめしと違い、ごはんのパラパラ感や香ばしさは楽しめない。
また味は、実際のえびめしよりも濃いめだ。
さらに、おにぎりの中央に半分に切ったゆで玉子とタルタルソースが入っているものも。
ほかにも、オムえびめしおにぎりなんてものもある。
えびめしが食べられるおすすめの店
下記ページでは、岡山県内を中心に、えびめしが食べられるおすすめのお店をまとめてみた。
参考にして欲しい。
岡山名物【えびめし】人気店・おすすめ店ランキング!岡山名物【えびめし】人気店・有名店の一覧!地元民がおすすめの店を紹介
さいごに
岡山は他地域に比べて名物グルメが少ないといわれていた。
実際はあるのだが、印象に残るようなもの、インパクトのあるものが少なかったわけだ。
しかし、2000年代に入りインターネットの力もあって、じょじょにえびめしが知られるようになり、名物となった。
えびめしは、ほかに似た食べ物がない、独特の味わいが魅力。
ぜひ岡山に来た際には、えびめしを味わってみてはいかがだろうか。
えびめしのイチオシポイント
- インパクトのある濃い焦茶色の見た目
- 見た目と違ってサッパリとした味付け
- 口内にひろがる香ばしさ
- ほどよい塩梅のやさしい甘味
- ごはんの独特のパラパラ感
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