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『むらすずめ (むらすゞめ)は、岡山県の南西部の街・倉敷の伝統的な銘菓で、代表的な土産物。
倉敷では藤戸饅頭や由加山のあんころ餅とならんで、代表的な菓子だ。
歴史も古く、明治時代初期にまでさかのぼる。
そこで、土産菓子紹介メディア『OMIYA!』などで郷土文化ライター、銘菓・土産菓子ライターとして活動する筆者アサノが、むらすずめの特徴や歴史、製造業者や業者ごとのむらすずめの特徴について紹介しよう。
もくじ
むらすずめとは?つぶあんをくるんだ和製クレープ的な和菓子
むらすずめの特徴だが、よく「和製クレープ」と表現される。
中にはつぶあんが包まれている。
大きさは業者によって異なるが、だいたい横が約10cm、縦が約3cm、高さ4〜5cmくらいだ。
むらすずめの生地(皮)は、小麦粉と玉子・砂糖などを混ぜ合わせ、それを鉄板の上に薄くのばして丸い形にして焼き上げる。
このときに、生地に無数の小さな気泡ができるのポイントだ。
小さな無数の穴が独特のフワッとした生地の食感のミソとなっている。
そのあと焼き上がった丸い生地の中央に、つぶあんを乗せる。
そして、生地を半分に折り曲げることで、つぶあんをくるむのだ。
なお、近年はつぶあんの代わりにいろんなものをくるんだ、新むらすずめも登場している。
むらすずめの名前の由来は見た目から
むらすずめは、漢字で書くと「群雀」。
つまり、「群らがったスズメ」「スズメの群れ」という意味。
かつて倉敷村(現 倉敷中心部)周辺では、夏になるとイグサの編み笠を被って踊る豊作祈願の祭りがあったという。
踊る人々がかぶっている編み笠が、まるで稲に群がる雀のように見えたので、通称「群雀(むらすずめ)」と呼ぶように。
そしてむらすずめは、菓子の見た目がこのイグサの編み笠に似ていたので、「むらすずめ」と命名されたのだ。
なお、木本戎堂のむらすずめは「村雀」という表記になっているので、「村のスズメ」という意味合いだろうか。
むらすずめの歴史:明治初期に誕生
むらすずめが誕生したのは、明治時代初期。
明治10年(1877年)に、橘香堂(きっこうどう)の初代・吉本 代吉(よしもと だいきち)が考案した。
当時はとても画期的な菓子だったようで、ほかの菓子職人から注目をされたという。
窪屋郡 生坂村(現 倉敷市生坂)出身で、「調布」を考案した間野 与平(まの よへい)も、むらすずめをつくったという。
なお、調布の元祖の流れをくむ岡山市の翁軒(おきなけん)の、調布に付属する説明書きには、調布と同じくむらすずめも間野 与平がつくったと書かれてあった(なお現在、翁軒ではむらすずめは製造していない)。
むすずめの元祖には、諸説あるのだろうか。
むらすずめの主な製造業者
むらすずめは、元祖である橘香堂の知名度が圧倒的に高い。
じっさいに土産物店などでもよく見かける。
そのため、地元民でもむらすずめは橘香堂一社のみしか製造していないと思っている人が多いという。
しかし、じっさいには橘香堂以外にも数社の和菓子店が製造・販売しているのだ。
以下に、主要なむらすずめメーカーをまとめてみた(五十音順)。
- 橘香堂 (きっこうどう):倉敷市
- 木本戎堂 (きもと えびすどう):倉敷市
- 金萬堂本舗 (きんまんどう ほんぽ):岡山市(北区)
- くらしき美味処 (くらしき びみどころ):倉敷市
- 広栄堂武田 (こうえいどう たけだ):岡山市(中区)
- 廣栄堂本店 (こうえいどう ほんてん)(廣栄堂):岡山市(中区)
- 聖和堂 (せいわどう):岡山市(南区)
- 大師屋製菓 (だいしや せいか):総社市
- 天龍庵 (てんりゅうあん):倉敷市
- 富久 (とみひさ):倉敷市
- 中山昇陽堂 (なかやま しょうようどう):岡山市(北区)
- 明月堂 (めいげつどう):倉敷市 ※閉業?
上記のうち、金萬堂・くらしき美味処・広栄堂武田・廣栄堂本店・聖和堂・中山昇陽堂の6社は、きびだんごの製造メーカーでもある。
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また、広栄堂武田・廣栄堂本店・大師屋製菓・中山昇陽堂の4社は、調布も製造している。
【調布】岡山市土産で「おっ」と言われたいなら調布がおすすめ!岡山市四大銘菓の一つ
以下、代表的な業者のむらすずめをみていこう。
橘香堂:本家ならではの味のバランスと、しっかりとした生地感
橘香堂は、むらずすめを考案した本家本元。
そのため、つぶあんや生地の味・風味のバランスがよく、もっとも多くの人に好まれるだろう。
また、どのむらすずめよりも生地がしっかりとした感じがあった。
あんの味を楽しみながら、生地もしっかりと味わうことができる。
どの店のむらすずめがいいか迷ったら、橘香堂のむらすずめを選択してまちがいないだろう。
橘香堂は倉敷美観地区の少し北、元町通り(倉敷中央通り)沿いに本店がある。
また、美観地区の倉敷川畔西端にも店舗がある。
こちらの店舗では、自らむらすずめを作る「手焼き体験」も人気だ。
木本戎堂:昔ながらの手作り感、生地のしなやかさと、甘さ控えめのつぶあん
特徴は、薄めでしんなりとした生地。
生地の薄さでは木本戎堂のものが一番。
そのぶん、生地はなめらかでしっとりとしている。
つぶあんの量は控えめだが適度な甘さとしっとり感が特徴だ。
木本戎堂のむらすずめは、全むらずすめの中でもっとも手作り感がある商品と感じた。
また、木本戎堂のむらすずめは「村雀」という独特の漢字表記を使っている。
さらに箱もレトロな雰囲気がいい。
入れ物は簡易箱にしてもらうこともできる(箱代の分、安くなる)。
ちなみに、真空パックしていないので、賞味期限が夏は3日、それ以外の時期は4日と短い。
また、箱詰め時に仕切りがないため、斜めにしたら寄ってしまう。
そのときに、生地がやぶれてしまうこともあり、繊細な生地だということがわかる。
木本戎堂は倉敷本通りに店舗があり、外観・店内は昔ながらの歴史的な町家の風情がある。
ほかに「ぼっこう饅頭」や干菓子なども人気。
なお、むらすずめ・ぼっこう饅頭はバラ売りもあるので、食べ歩きもできる。
天龍庵:甘党向け、甘さ強めで量たっぷりのつぶあん
天龍庵は、倉敷郊外の帯江地区の二日市に本店がある。
ほかにも支店は郊外にある。
美観地区内の「倉敷いろはに小路」などの複数の土産物店で天龍庵のむらすずめが取り扱われている。
天龍庵のむらすずめは、つぶあんがたっぷりと入っているのが最大のポイント。
そのため、むらすずめも少し大きめ。
また、つぶあんは量だけでなく甘さもやや強め。
トロッとした感じで、舌触りはなめらか。
つぶあん好きなら天龍庵一択だ。
さら、生地のふんわり感は、ほかのむらすずめよりも抜きん出ている感じがあった。
生地も厚めだ。
くらしき美味処:いろんな味のバリエーションとおしゃれな包装
くらしき美味処は、和紙を使ったおしゃれな包装の銘菓をつくっている。
むらすずめも和紙製のおしゃれな包装だ。
また、くらしき美味処のむらすずめは「いろはに美味すずめ」という商品名で、つぶあん以外にもカスタードクリームやチョコレート味など、さまざまな味のバリエーションを展開。
季節限定の味も多数用意され、地元のマスカットや白桃などの味もある。
つぶあんが苦手な人向けやお子様向けには喜ばれる商品だろう。
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