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石関町(いしぜきちょう)は、岡山市北区にある町丁です。
近世の岡山城下時代から続く古い地名。
その時代には材木商が多く居住した町人町、旭川の川港町、さらに寺社が集まる寺社町でした。
※ アイキャッチ画像は、石関町の旭川土手より旭川と岡山城を方面を眺めたところ
あくまで当サイトでの見解です。
「石関町」はこんなところ
石関町は岡山駅前から東へのびる桃太郎大通りを城下交差点からゆるい勾配の坂を登った東側から北側にあたる一帯です。
東は旭川、西は城下筋が境界。旭川の中州には後楽園。
城下筋を挟んで西に天神町に隣接。北部は出石町、南は内山下、西南に表町と隣接。
南端には石山公園があり、市民の憩いの場となっています。
そのすぐ南には岡山市民会館があります(石関町外になりますが)。
もとは西の天神町を含めた範囲が石関町でした。
しかし昭和39年3月の町区改訂で城下筋西部を天神町として分離。また北部の一部分は出石町に含まれることになりました。
地名の由来
旭川から岡山城の堀へ取水する堰が由来
宇喜多直家が岡山城築城の際に、防衛のために後に内堀・中堀と呼ばれる堀を造成。
そこへ旭川から水を引くために当地から旧岡山市立内山下小学校のあたりにあった帯郭門(西ノ丸北隅の石垣下にあった門)にとの間に大石を用いて土手を築き「石関」と呼ばれる堰を造成しました。
この「石関」が地名の由来となっています。
江戸時代の岡山城下造成初頭から続く歴史のある町名なのですが、前述の通り昭和39年の町区改正でその範囲は従来より狭くなってしました。
なお、お堀は近代になって埋め立てられました。
歴史
古代は旭川デルタ地帯の一部
古代において、旭川は現在の玉柏のあたりから複数に分流。巨大なデルタ地帯を形成していました。
その中に「岡山」・「石山」・「天神山 (天満山)」の3つの丘が連なったおおきなデルタがありました。 現在の石関町の地はそのうちの石山の一部(北側)あたります。
『和名類聚抄』に載る備前国御野郡(みののこおり)出石郷(いづしごう)に属したとみらています。
中世になると同じくデルタに発達した備前国内の有力荘園・鹿田庄(しかだしょう)の支配下でした。
南北朝時代になると、当時付近を治めた上神高直が石山に石山城を築城。
戦国時代、岡山城の築城
戦国時代、金光氏が石山城へ入城。 続いて沼(現 岡山市東区から宇喜多直家が石山城へ移ります。 宇喜多氏は石山城を改築し、さらに城下町も整備。
息子の宇喜多秀家が城主になると、石山の東側にある岡山に天守を築造。 石山城を取り入れる形で大規模な城郭を造成。これが岡山城です。
そして城の防衛のため、旭川を岡山城を大きく回り込むように流路を変更。
さらに、のちに内堀・中堀と呼ばれる堀を張り巡らせ、そこへ旭川から取水するために当地から帯郭門(西丸北隅の石垣下にあった門)の間に大石を用いて土手を築き堰をつくります。
前述の通りこれが石関町の地名の由来になるものです。
秀家は城下町も大規模に整備し、旭川東岸へも拡大。山陽道を城下を通過するように変更。 備前国内各地から商人を城下へ移住させます。これが現在の岡山市街の原型です。
江戸時代〜
江戸時代になり宇喜多氏に代わり小早川秀秋が岡山城主に。
廿日堀(現 柳川筋)を整備するなどしたが、短期間で死去し、池田氏が城主となります。 その後、池田宗家に代わり幕末まで池田氏が岡山藩主となります。
岡山城下であった現在の石関町はもちろん岡山藩の支配下でした。
江戸時代にはすでに石関町の町名が出来ていました。
当地は材木商が多く居住した町人町となります。
現在の石関町域の旭川沿岸に川港があって、旭川上流の勝山など美作国などから高瀬船により運搬された材木・薪・炭などの荷揚げ場でした。
石関口御番所がり、明治3年まで他所船改にあたっていました。
北部に酒折宮(さかおれぐう、現 岡山神社)が鎮座。
門前の川手に社僧の平福院・実成院・清鏡寺(いずれも天台宗)がありました。
しかし酒折宮の他は移転・衰微し、その跡が前述の材木町になります。
平福院は宇喜多直家の菩提寺で、直家を葬った廟があり木像を安置していました。
その後に廃寺になり、木像だけ磨屋町の光珍寺に移管。
同寺院が直家の父 興家の菩提寺なので、ともに供養を続けました。
しかし戦災で光珍寺も木像も焼失してしまいました。
清鏡寺は、磨屋町の岡山寺境内に移転。ここも岡山寺とともに戦災で焼失。現在、岡山寺だけは同じ場所に再興しています。
明治になり、内堀・外堀は埋め立てられて敷地や街路となります。
参考資料
- 『日本歴史地名体系三四巻 岡山県の地名』平凡社
- 『岡山県大百科事典』山陽新聞社
- 巌津政右衛門 『岡山地名事典』日本文教出版社
- 岡山大学付属図書館 『絵図で歩く岡山城下町』吉備人出版
あくまで当サイトでの見解です。