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安芸国(あきのくに)は現在の広島県の西部にあたる旧国(令制国)です。 広島市や宮島のある廿日市市などが安芸国の範囲内となります。
宮島の厳島神社は世界遺産であり西日本有数の観光地。
その安芸国の地名の由来を考えます。
あくまで当サイトでの見解です。
もくじ
安芸国とは
安芸国は現在の広島県の西部に相当します。
古くは阿岐・安岐・阿吉などの表記もされていました。
安芸という地名は国名は安芸国のみですが、地名としては各地にあります。
土佐国に安芸郡(現 安芸市など)、伊勢国に安芸(あげ)郡などがみられます。
現在の広島市街地は近世以降に開けた地。
それ以外に安芸国内に平地は現在の東広島市中心部いあたる盆地くらいで、全体的に山がちな国域でした。
地名の由来
安芸国の地名由来として様々な説があります。
代表的な説としては下記のようなものがあります。
「秋=豊穣を願う瑞祥」説
安芸は秋からの変化とする説です。
秋は実りの季節、収穫の季節ですから、豊穣を願って付けられたというもの。
いわゆる瑞祥(ずいしょう)地名というやつです。瑞祥地名とは良いことが起きるように願って付けられた地名や良いイメージを優先して命名された地名のこと。
当サイトでは、古い地名の多くは地形に由来しているというスタンスです。
そのためこの説は支持しません。
後年に同じ読みの言葉から連想された説話の類とみてよいでしょう。
「アク=湿地」説
アキはアクが変化したもので、アクはアクタ(芥)が変化したものとする説。
アクタは湿地を意味するものとされ、湿地を開拓してできた地であることがこの説での地名の由来とされます。
「アギ=高所」説
アキはアギが変化したもので、アギはアゲ(上げ)が変化したものとする説。
アゲ(上げ)は、その名の通り標高の高いところを意味するもので、高所にある地域であったことがこの説の地名由来とされます。
「ハキ=吐き=崩落地・崖地」説
アキはハキ(吐き)が変化してものとする説。
ハキ(吐き)は崩落地や崖地を意味します。
この説の場合、崩落地や崖地を開発してできた土地であることが地名の由来とされます。
当サイトは「吐き=崩落地・崖地」説を支持
地名由来地は安芸郡安芸郷
当サイトでは古い広域地名はその範囲内の一地名に由来しているという事をまず重視します。
安芸国には安芸郡があり、安芸郡には安芸郷があります。
このことから安芸郷が地名由来地と考えるのが自然です。
安芸郷は現在の安芸郡府中町を中心とした地域で、その周辺の広島市東区温品・中山地区や安芸区の船越地区、安芸郡海田町の一部などにおよぶ範囲。
この地区の地形をヒントにしながら考えると、「アギ=高所」説は当てはまりません。
前述の地域内に山地があり高所もありますが、この地域の山地が一帯の中枢になりえるような場所とは考えにくいです。
となると残るは「アク=湿地」説と「ハキ=崩落地・崖地」説です。
どちらも可能性としては考えられるので難しいのですが、安芸郷の範囲内の特徴的な地形としは崩落地がみられるので、「ハキ=崩落地・崖地」説の方が有力と考えます。
過去に崩落が起こった土地は新田開発しやすい土地とされました。要は自然に土地が耕されたようなものだからです。
ですから、かつて崩落が起こった土地を開発して安芸の発祥地が生まれたと考えられるのです。
「吐く」とは内面に隠されたものが外に露出されて目に見えるということ。
土地が崩落すると地中のものが露出されます。
そのため崩落地・崖地を「吐き」と形容されたのです。
ちなみにハゲ(剥げ)も同様の由来と考えられます。
安芸国の地名由来は「崩落地=吐き=安芸郷」
当サイトの見解は安芸国の地名発祥地は安芸郡安芸郷。
そして地名の由来は崩落地を開発した地であることで、崩落地=吐きから安芸に変化したとします。
参考資料
- 『日本歴史地名体系 広島県の地名』平凡社
- 楠原佑介ほか『古代地名語源辞典』東京堂出版
- 池邊彌『和名類聚抄郷名考証』吉川弘文館
あくまで当サイトでの見解です。